イヌマキの生垣|和風の定番の特徴と刈り込みのコツ

和風の定番であるイヌマキの生垣の特徴と刈り込みのコツを解説する記事のアイキャッチ

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『和風の家に合う生垣にしたい。マキの生垣ってどうなんだろう?』と考えている方も多いですよね。

すでにイヌマキの生垣があって『いつ、どこまで切っていいの?』と迷っている方もいるはずです。

結論から言うと、イヌマキの生垣は、潮風に強く刈り込みにも強い、和風の生垣の定番です。成長がゆっくりめなので形を保ちやすく、初夏と秋の年2回の剪定が手入れの基本です。

この記事を読むと、イヌマキの特徴とラカンマキとの違い、向く場所の見分け方、1年の手入れと刈り込みのコツが分かります。

目次

イヌマキの生垣ってどんな木?

先に結論

イヌマキ(犬槇)は、マキ科の常緑針葉樹です。細長い葉で、潮風に強く、刈り込みにも強いので、和風の生垣の定番として使われてきました。

生垣(いけがき)は、木を列に植えて刈り込みで仕立てた垣根のことです。生垣そのものの基本は生垣とは?読み方・塀との違いと役割で紹介しています。

イヌマキは、一年中葉が残る常緑の木です。温暖な沿岸部では、防風の生垣や屋敷まわりの木として多く見られます。

『マキの生垣』『生垣のまき』と呼ばれているのは、イヌマキを指すことが多いです。近所で見かけるマキの生垣も、たいていはイヌマキだと考えてよいでしょう。

細長い葉が密に茂ったイヌマキの生垣を近くから写した写真

生垣にした時のよさと、気をつけたいこと

くらべる点イヌマキの生垣でのよさ気をつけたいこと
丈夫さ潮風に強い暖地では葉を食べる虫が出ることがある
刈り込み刈り込みに強く、形を作りやすい初夏と秋の年2回は手を入れる
伸び方成長がゆっくりめで形を保ちやすい植えてから密になるまで時間がかかる
葉細長い葉で、和の雰囲気が出る針葉樹なので、深く切りすぎない
実雌株は秋に実をつける種子は食べない

刈り込み(伸びた枝先を面にそろえて切ること)で、四角くきっちりした形に仕立てやすいのがイヌマキのよさなんです。

成長がゆっくりめ、はうれしい?

『ゆっくり育つなら、手入れが楽そう』と思いますよね。実は、そのとおりの面があります。

伸びが穏やかなので、一度形を作れば、くずれにくいんです。毎年の刈り込みも、伸びた分をそろえる程度で済みやすくなります。

ただ、植えてから目隠しになるまでには時間がかかります。『すぐに隠したい』という場合は、この点を知ったうえで選んでおきましょう。

雌株の実は、口に入れない

イヌマキは、雌株が秋に実をつけます。赤紫に熟す花托(実の土台の部分)と、緑の種子がつながった形です。

種子は食べない

イヌマキの種子は食べないようにしましょう。小さなお子さんやペットがいる家では、実が落ちる秋に足元を片づけておくと安心です。

ラカンマキ・ほかの針葉樹とどう違う?

先に結論

ラカンマキはイヌマキの変種で、葉が短く、枝に密につくので、こんもりまとまりやすい木です。成長はイヌマキよりさらにゆっくりで、格式のある和風の生垣や仕立物に使われます。

マキの生垣を考える時、いちばん迷うのがイヌマキかラカンマキか、ですよね。どちらも和風の生垣の定番で、手入れ・剪定時期も同じように考えられます。

イヌマキとラカンマキの葉の長さ・葉のつき方・成長の速さ・向く生垣を比べた図解
イヌマキの生垣
  • 葉が細長く、のびやかな印象
  • 成長はゆっくりめで、形を保ちやすい
  • 防風の生垣や屋敷まわりにも使われる
  • 長い生垣を仕切りとして作りたい時に
ラカンマキの生垣
  • 葉が短く、枝に密につく
  • こんもりまとまりやすい
  • 成長はイヌマキよりさらにゆっくり
  • 格式のある和風の生垣や仕立物に

どちらを選ぶかの考え方

こんな希望なら向く方ひとこと
和風の仕切りを長く作りたいイヌマキのびやかな葉で、防風にも使われる
密でこんもりした面にしたいラカンマキ葉が短く、枝に密につく
形をできるだけ長く保ちたいラカンマキ成長がさらにゆっくり
少しでも早く仕切りにしたいイヌマキラカンマキよりは伸びる

ラカンマキの特徴はラカンマキの生垣|イヌマキとの違いと育て方で紹介しています。

ほかの針葉樹と比べると

和風の針葉樹の生垣としては、イチイやヒバも候補になります。

くらべる点イヌマキイチイヒバ(チャボヒバなど)
得意な環境潮風に強い・温暖な沿岸部に多い寒さに強い枝葉が密になる
伸び方ゆっくりめゆっくりゆっくり
刈り込み強い強い古い枝まで深く切ると芽が出にくい
気をつけたいこと種子は食べない種子や葉に毒がある深く切りすぎない

寒い地域で和風の生垣を作るなら、寒さに強いイチイも比べておきたいところです。イチイはイチイの生垣|寒さに強い針葉樹の特徴と育て方、針葉樹全体は針葉樹の生垣|マキ類・コニファーの特徴と選び方で紹介しています。

イヌマキの生垣が向く場所・向かない場所

先に結論

イヌマキの生垣は、潮風が当たる温暖な沿岸部や、和風の家の境界に向きます。寒さの厳しい地域や、すぐに目隠しがほしい場所では、ほかの木も比べておきましょう。

イヌマキのよさが生きるかどうかは、植える場所で大きく変わります。次の表に、植えたい場所を当てはめてみてください。

場所の条件向き不向き理由と考え方
海に近く潮風が当たる向く潮風に強く、防風の生垣にも使われる
和風の家の道路沿い向くきっちりした和の仕切りになる
屋敷まわりを囲む向く屋敷まわりの木として多く見られる
寒さの厳しい地域確認が必要温暖な地域に多い木なので、購入先に確かめる
すぐに目隠しがほしい場所向きにくい成長がゆっくりめで、密になるまで時間がかかる
高く仕立てた目隠し条件しだい上の刈り込みを自分でできるかを考える

例えばこんな場面なら

表だけだとイメージしにくいですよね。いくつかの場面に当てはめてみます。

例えば「道路に面した10mほどの生垣がある2階建ての家の場合」なら、和風の家ならイヌマキはよく合います。道路側から刈る場所があるか、歩道に出ずに作業できるかを先に見ておきましょう。

例えば「海に近く、風の強い家の場合」なら、潮風に強いイヌマキは心強い候補です。植えてしばらくは、支柱で風によるぐらつきを抑えておくと安心です。

例えば「寒い地域で和風の生垣を作りたい場合」なら、寒さに強いイチイも並べて比べてみてください。

イヌマキの生垣が合う人
  • 和風の家や庭に合う、きっちりした生垣にしたい
  • 潮風が当たる場所に植えたい
  • 目隠しになるまで、ゆっくり育てる余裕がある
  • 初夏と秋の年2回、刈り込みの時間をとれる

和の庭に合う生垣をほかの木とも比べたい方は和風の生垣|和の庭に合う木と刈り込みの形もあわせて見てみてください。

隣家との境に植えるなら

『隣の家に枝が出たら、トラブルにならない?』と気になる方も多いはずです。

隣地へ越境した枝について、民法のルールは令和5年4月1日から改正されています。

催告しても相当の期間内に切らない時などは、越境された側が自ら枝を切り取れるようになりました。相当の期間は、基本的には2週間程度と自治体の案内で説明されています。

お互いさまの気持ちで

イヌマキは成長がゆっくりめですが、何年も刈らずにいると枝は境界を越えます。境界から少し内側に植え、毎年の刈り込みで隣地側の幅も整えておくと、お互いに気持ちよく過ごせます。越境のルールは生垣の枝が隣に越境したら|民法のルールと剪定の相談で紹介しています。

1年の手入れカレンダー:剪定・実・虫の時期

先に結論

イヌマキの剪定は、初夏(5〜6月)と秋(9〜10月)の年2回が目安です。秋は雌株の実、暖地では葉を食べる虫にも気を配っておきましょう。

『いつ切ればいいか分からない』という方がいちばん多いですよね。月の目安は地域や年で前後するので、木の様子を見ながら合わせてみてください。

イヌマキの生垣の1年の手入れを、初夏の剪定・夏の見回り・秋の剪定と実・冬の見回りの順に並べたカレンダーの図解
時期の目安木の様子やること
春新芽が伸び始める新芽の様子と、虫がいないかを見る
初夏(5〜6月)新しい枝が伸びる1回目の刈り込みで形を整える
夏枝が伸びる道路や隣地へのはみ出しだけ軽く切る
秋(9〜10月)伸びが落ち着く2回目の刈り込みで形をそろえる
秋雌株が実をつける落ちた実を片づける
冬常緑で、仕切りが続く枯れ枝や、すき間を見ておく

刈り込みの手順

イヌマキの生垣の刈り込みの進め方
  1. 刈る高さと幅を決め、目印のひもを張る
  2. 側面は、上を少し狭く・下を広くした台形を意識して刈る
  3. 天端(いちばん上の面)を手の届く高さでそろえる
  4. 内側の枯れ枝や、混み合った枝を取る
  5. 刈った枝葉と落ちた実を片づける

上を狭く下を広くした台形にすると、下の葉まで日が当たりやすいと一般に説明されています。足元がスカスカになるのを防ぐためにも、この形を意識しておきましょう。

深く切りすぎないのがコツ

針葉樹の多くは、葉のない古い枝まで深く切ると芽が出にくい、と一般に説明されています。

イヌマキは刈り込みに強い木ですが、一度に葉がなくなるところまで切るのは避けたほうが無難です。刈り込みは「伸びた分をそろえる」くらいを基本にしておきましょう。

虫は「葉の減り方」で気づく

暖地では、キオビエダシャク(シャクトリムシ)がイヌマキの葉を食べることがあります。

『いつの間にか葉がまばらになった』と感じたら、枝先や葉の裏を見てみてください。早めに気づけば、被害の広がりを抑えやすいです。

よくある失敗

葉が減っているのに気づきながら、刈り込みの時期まで様子を見ていたら、生垣の広い範囲に広がっていた、というのはよくある失敗です。気づいた時点で枝を確かめ、薬剤を使う時はラベルの使い方に従いましょう。

剪定の時期や回数を生垣全体で知りたい方は生垣の剪定|時期・回数と刈り込みのやり方も参考にしてみてください。

よくある相談:ラカンマキと迷う・早く密にしたい・高さを下げたい

先に結論

イヌマキの生垣でよく出る悩みは、「ラカンマキとどちらにするか」「早く密にしたい」「高さを下げたい」の3つです。成長がゆっくりめで、深く切りすぎない方がよい、という性質を知っておくと答えが見えやすくなります。

ここでは、知恵袋で多く読まれている相談を、内容を要約して紹介します。

相談1:生垣にイヌマキかラカンマキか迷っている、成長の違いは?

生垣にイヌマキとラカンマキのどちらを植えるか迷っていて、成長の違いを知りたい、という相談です。

『どっちも同じに見える…』と思いますよね。ラカンマキはイヌマキの変種で、成長はイヌマキよりさらにゆっくりです。

葉が短く枝に密につくラカンマキは、こんもりした面が作りやすい反面、育つのに時間がかかります。少しでも早く仕切りにしたいならイヌマキ、時間をかけて端正に仕上げたいならラカンマキ、と考えると選びやすいです。

相談2:早く目が詰まるのは、イヌマキとベニカナメ、どっち?

生垣として早く成長して目が詰まる木を選びたいけれど、イヌマキとベニカナメモチで迷っている、という相談です。

結論から言うと、イヌマキは成長がゆっくりめの木です。早く仕切りにしたい気持ちが強いなら、刈り込み後に新芽が出直すベニカナメモチも比べておく価値があります。

くらべる点イヌマキベニカナメモチ
伸び方ゆっくりめで形を保ちやすい刈り込みで新芽が出直す
見た目細長い葉で和の雰囲気春と刈り込み後の新芽が赤い
気をつけたいこと種子は食べない・暖地の虫葉に斑点が出て落葉することがある

ベニカナメモチはベニカナメモチの生垣|赤い新芽を楽しむ育て方で紹介しています。

相談3:イヌマキの生垣を、少し切り詰めて低くしたい

背が高くなったイヌマキの生垣を少し低くしたいけれど、今の時期に切っても大丈夫か、という相談です。てっぺんをばっさり切ったら伸びなくなった、という相談もよく見られます。

『どこまで切っても平気なの?』と不安になりますよね。

剪定の目安は、初夏(5〜6月)と秋(9〜10月)です。高さを下げたい時も、この時期に合わせると考えやすくなります。

一度に大きく下げたい時は

針葉樹の多くは、葉のない古い枝まで深く切ると芽が出にくいと一般に説明されています。大きく下げたい時は、一度に切らず何回かに分けるか、木の様子を見てもらえる業者に相談すると安心です。

切る前に、こんなふうに考えをまとめておくと、業者にも伝えやすくなります。

「今の高さから、道路の見通しがよくなるくらいまで下げたいです」
「一度に下げるのが無理なら、何回かに分けてもかまいません」

相談4:生垣のイヌマキの新芽が枯れて、葉も黄色っぽくなってきた

生垣のイヌマキの新芽が枯れ始め、ほかの葉も少し黄色くなってきた気がする、という相談です。

『このまま全部枯れてしまうのでは』と心配になりますよね。原因は一つに決めつけられないので、まずは落ち着いて木の様子を見てみてください。

葉の色が変わった時に見ること
  • 枝先の葉が食べられていないか、虫がいないか
  • 植えてから日が浅く、根づく前に乾いていないか
  • 刈り込みで、葉のない所まで深く切っていないか
  • 一部だけか、生垣全体に広がっているか

一部だけなら、その枝の様子をしばらく見る方法もあります。広がっている時や、自分で見ても分からない時は、葉や枝の写真を持って購入先や業者に相談すると原因が分かりやすくなります。

植える前のチェックと、伸びすぎた時の頼り先

先に結論

イヌマキの生垣は、植える時期・支柱・最初の水やりで、その後の育ち方が変わります。高くなって手に負えない時は、無理をせず剪定を相談するのも手です。

常緑樹は、春(新芽が動く前後)や秋の気温が穏やかな時期が植え付けに向くと一般に説明されています。

植えたあとは、根づくまで水やりと支柱が欠かせません。竹などで列をつなぐように支柱をしておくと、風でぐらつきにくくなります。

植え付けの流れ
  1. 境界から少し内側に、植える線を決める
  2. 苗の間隔を購入先や施工業者に確かめる
  3. 穴を掘って苗を植え、たっぷり水をやる
  4. 竹などで列をつなぐように支柱を立てる
  5. 根づくまで、土が乾いたら水やりを続ける

苗の間隔は、樹種・苗の大きさ・仕上がりの高さで変わります。植え付けの流れは生垣の植え方|苗の間隔・時期と植え付けの手順で紹介しています。

自治体の助成も確認しておこう

生垣をつくる費用や、ブロック塀を撤去して生垣にする費用を助成している自治体があります。有無や条件は自治体ごとに違い、年度でも変わります。

着工前の申請が条件のことが多い

北区の例(2026年10月確認)では、工事着工前に連絡が必要で、着工後の申請は対象になりません。お住まいの市区町村に先に確認しておきましょう。くわしくは生垣の助成金|自治体の緑化助成とブロック塀からの切り替えで紹介しています。

高くなりすぎた・道路の見通しが悪い時は

道路に張り出した枝や生垣は、歩く人や車の通行、見通しの妨げになります。所有者が手入れするよう、多くの自治体が呼びかけています。

『もう自分では届かない…』という高さになったら、脚立に無理に上らないでくださいね。高い所の作業は転落の危険があります。

業者に相談したほうがいいサイン
  • 天端が手の届く高さを超えている
  • 道路の見通しが悪く、高さを大きく下げたい
  • 生垣が長く、自分で刈りきれない
  • 虫の被害が広がり、枝の整理が必要

生垣が高くなって手に負えない時や、長い生垣の刈り込みが大変な時は、剪定をまとめて相談できる窓口もあります。

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よくある質問

イヌマキの生垣の剪定はいつが目安ですか?

初夏(5〜6月)と秋(9〜10月)の年2回が目安です。夏は道路や隣地へのはみ出しだけ軽く切る程度にしておくと、形を保ちやすいです。

マキの生垣とイヌマキの生垣は同じですか?

「マキ」「まき」と呼ばれる生垣は、イヌマキを指すことが多いです。葉が短く密につくラカンマキは、イヌマキの変種です。

イヌマキの実は食べられますか?

雌株は秋に実をつけますが、種子は食べないようにしましょう。小さなお子さんやペットがいる家では、落ちた実を片づけておくと安心です。

寒い地域でもイヌマキの生垣は作れますか?

イヌマキは温暖な沿岸部に多い木なので、寒さの厳しい地域では購入先に確かめておきましょう。寒い地域の和風の生垣なら、寒さに強いイチイも候補になります。

イヌマキの生垣をばっさり低くしても大丈夫ですか?

針葉樹の多くは、葉のない古い枝まで深く切ると芽が出にくいと一般に説明されています。大きく下げたい時は何回かに分けるか、業者に相談すると安心です。

まとめ

この記事の要点
  • イヌマキの生垣は、潮風に強く刈り込みにも強い、和風の生垣の定番
  • 「マキの生垣」はイヌマキを指すことが多い
  • ラカンマキは葉が短く密で、成長はさらにゆっくり
  • 剪定は初夏(5〜6月)と秋(9〜10月)の年2回が目安
  • 深く切りすぎず、伸びた分をそろえる刈り込みが基本
  • 高い所の作業や大きく下げたい時は、業者への相談も考える
生垣ドットコム

生垣ドットコム 編集部

生垣(いけがき)の意味・役割から、目的別の木の選び方、トキワマンサク・マサキ・イヌマキなど樹種ごとの特徴、剪定の時期とやり方、植え方・費用・助成金の考え方までを、庭や道路沿いで迷わないように整理している情報サイトです。 公式サイト

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